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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第41章 伝えられない真実『後編』❥徳川家康




そしてその花をそっと華の手に握らせた。

その時。









『家康さんっ、ありがとう!!』












「!!」



ぶわっと風が吹いて、それとともに何かが聞こえた。


「華....?」

そう言うけど華はぴくりとも動かない。


だけど今の声は。紛れもなく。


「華の、声....」


俺は気になってそっと後ろを振り向く。

「あの、お爺さん。今の声、聞こえましたか?」

だけど。


「今の声、とは?」

お爺さんは首を傾げるだけだ。


(っ、俺にしか、聞こえてない....?)


そんなことがあるのだろうか。


もう一度華の顔を見ても何も起こらない。

瞳さえもぴくりとも動かない。



(じゃあ華は....俺に、最後の挨拶を...?)



そう思ったとき、ふいにお爺さんから声がかかった。

「すまん、家康さん、わしはもうちょっと行かなければならない。帰る道は分かるか?」

「あ、はい。ありがとうございます。」


深く頭を下げるとお爺さんはひとつ笑った。


「こうして想ってくれてる人もいて... 華は幸せ者だよ。」



そう言ってそっと身を翻してお爺さんは行ってしまった。

お爺さんが行ってしまって、ひとりになる。



「っ...」


そして、さっきのお爺さんの言葉が耳に張り付いた。

(華は...幸せだったのか?俺は何も...してあげられなかったのに。)


また涙が溢れそうな目をぎゅっと瞑って唇を噛み、華の手を握ったときだった。




ふわっ




「...!」



何かが、俺の上に被さったような気がしたのだ。

「な、んだ...?」

動こうとしても金縛りのように体が固まる。


確認のために華を見ても、変わらぬ姿がそこにあるだけだった。


「なんで体が動かな....」


『家康さん』


「....え?」



俺は固まったまま目を見開く。

聞こえるはずのない華の声が聞こえたからだ。


するとその声はまだ聞こえてきた。


『驚かして、ごめんなさい。』




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