第41章 伝えられない真実『後編』❥徳川家康
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家康さんへ
急にこんなお手紙を書いてごめんなさい。
今日は貴方にどうしても、伝えたいことがありました。
まず一番最初に伝えなければならないのは、感謝です。
急に家康さんの庭園に入って、花を盗んだこと、本当にごめんなさい。こうするしか無かったとはいえ、本当に今は反省しています。
だけど、今はこうして私と話してくれるようになった家康さんにすごく感謝しています。家康さんの優しい人柄に救われました。
そして、次に伝えたいこと。
それは、私の心の中の想いです。
こうしてみたら、おかしい奴だと思われるかもしれません。
だけど、どうしても私は家康さんに伝えたいです。
家康さんの庭園にお邪魔するようになってから、私の景色は変わりました。家康さんの側にいるだけで心が暖かくなるのが自分でも分かったんです。
この気持ちは何だろうと、ずっとずっと考えて、長い間家康さんのところに行くことが出来ませんでした。
だけど、今ようやく分かったんです。
私は、家康さんのことが、好きだということに。
この手紙を渡すときには家康さんにきっと直接言っていると思うけど、どうか私の想いを受け取ってください。
P.S 家康さん、大好きです。今これを書いている間も、早く逢いにいきたいです。
華より
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(っっ....!!)
読み終わった手紙を俺は信じられない気持ちで見つめる。
(まさか、この子も、俺と同じ気持ちで....?)
そしてそっとP.Sの部分を指でなぞった。
(俺だって、逢いたいっ....)
ぽた
小さな雫が手紙の上に落ちる。
ぽた
ぽた
(華っ....、華っ..!)
「っ、うっ...うあっ....」
初めて漏れでる嗚咽。
そして頬を伝う雫は止められそうにない。
「何で、先にいっちゃうんだよっ....」
こんなにこんなに。
お互いに想っていたのに。
(どうして....っ)