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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第40章 伝えられない真実『前編』❥徳川家康





そして、その庭園を監視し続けてから、三時間、四時間とたち...



もう時刻は真夜中になっていた。


(くそ...今日は来なかったのか)


一日中開けていた目が、もう限界を迎えている。

それにもうすぐ朝になる。


今日はもう来ないだろう。



(....よし、じゃあ少しだけ寝るか....)



俺は花が取られなかったことと、もうひとつ、何か違う感情を抱いて、そっと目を瞑った。

















「...!」



俺が次に目を覚ましたのは、夜明け前だった。

きっとさっき目を瞑ったときから、二時間ほどしか経っていないだろう。

そう思って、庭園の方に目を向けると...



「!!」




花が、またむしられていた。


俺は慌てて庭園の方に駆け寄る。

すると今度は百合たちが刈られていた。


「まさか...俺が寝ている間に....?」


こんな短い間にジャストで来ると思っていなかった俺は眉間にしわを寄せる。


(....くそ、絶対にあの女を捕まえてみせる。)


そして、今度は絶対に捕まえるという、はっきりとした目標ができた。





それは、花に対する執着心だったのか、

あの女に対する執着心だったのか。


今はもう分かるすべがない。

















そして、あの夜から幾度となく、俺は庭園を監視し続けた。


だけど...


(くそっ、今日もやられてる....)


あの女は俺の少しの仮眠の時間を見て毎回花を取りに来ていた。

(ほんとに花が無くなっていく...)


俺は一角が全て切り取られてしまった庭園を見つめる。

そしてそれとともに、ひとつの疑問が浮かんできた。


(あの女は、どうして花を盗むんだ...?)



花を盗んだところで、一体何をするというのだろうか。

それが何故か無性に気になった俺は、その日の夜、いつものように仮眠しているふりをして、その女を待った。



(....!来た、)


女が塀を登ってこちらの敷地内に入ってきた。


そして俺が眠っているのを確認したのか、その女はまた花を刈りとって鞄に詰めていく。

しかし、その詰んでいる瞳をよくよく見ると...


(...泣いてる?)



きらきらとした雫が月明かりに反射しているのが見えた。



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