第39章 SWEET TALKER ❥豊臣秀吉
「え、わ、私そんな分かりやすい顔してますかね?」
「あぁ。これでもかというほど、な。」
(ええっ...!そんな分かりやすいの!?)
はっきりと断言する光秀さん。
(いや、光秀さんにだけ分かるんじゃ...観察眼すごいし。)
私がそう思ったとき、
「...言っておくが。俺だけでなく皆にも分かると思うぞ。」
「!」
「えっ...」
まるで心を読まれたみたいに返事をされた私は思わずたじろぐ。
「あ、あのどうして思っていることが....」
そう言うと光秀さんはまたひとつ笑った。
「だから顔に書いていると言っているだろう。お前の考えていることは手に取るように分かる。」
「ええっ...そうなんですか...」
やっぱり考えていることがもろ出ちゃうらしい。
(うーん、それはそれでどうかと思うけどな...)
光秀さんに今度は悟られないように顔のマッサージをしていると...
「おい、華。」
ふいに光秀さんに名前を呼ばれた。
「?なんです...」
その声に顔をあげると...
「!?」
光秀さんの顔が目の前まで迫ってきていた。
(!?)
「あぁ、やはり可愛いな。」
「え、!?」
光秀さんはそう目を細めて言うとどんどん距離を詰めてくる。
(な、なんで急にっ...!?)
そう思って目をぎゅっと瞑ると....
「おい!光秀!!」
聞き慣れた人の声が耳に入って来た。
そして目の前にあった人影がなくなる気配を感じてそっと目を開ける。
するとそこには光秀さんの胸ぐらを掴みあげている秀吉さんの姿があった。
「お前...なんのつもりだ。」
「なんの、とは何だ?俺はただ華を揶揄っていただけだ。」
目の前でまさに取っ組み合いが起こりそうに目を鋭く細める二人を私は何もできずに見つめる。
(止めたいけど....二人とも怖すぎて近寄れない。)
そう思って助けを求めるように周りを見るも、いつものことか、というふうに誰もこちらを気にしていなかった。
(ええっ....大丈夫なのこれ。)
唯一目があった家康に助けを乞うように目を向けるけど、まさに一瞬で逸らされた。
(い、家康ーー!!)
私は諦めて二人に視線を戻した。