第38章 大好きな君のトリセツ❥真田幸村
パラ...
パラ...
幸村がひとつずつにゆっくり時間をかけて見ていく。
だけどなんの反応もない。
(...あれ?これ見ても何も思わないのかな...)
別に期待していたわけではないけれど、流石になんにも反応がないとあれ?と思ってしまう。
ぱたん
そう思っているとその本が閉じられる音が聞こえ、幸村が何故か不自然に下を向きながら私に本を返してきた。
「分かった、ありがと」
一言だけ言って黙り込む。
(え...私何か酷いこと書いてた...?)
その幸村の様子に何か異変を感じそのトリセツを見返すも特に気に障るようなことは書いていない。
「あの...幸村?どうし...」
そう言って俯いている顔を覗き込むと...
(!!)
幸村の顔が、真っ赤に染まっていた。
「っえ...」
思ってもみなかった反応に自分の顔さえも赤くなるのを感じる。
思わずその顔に魅入っていると、幸村が私の顔を掴んで離した。
「っ、見んなよ、ばーか。」
照れ隠しのような言葉に心がふわふわと温まっていく。
「ねぇ、幸村...もしかして...照れてる?」
(私の幸村の取扱説明書を読んで...照れてるの?)
思ったままを伝えると。
「っ、何だよ」
幸村は開き直ったように今度は私を真っ直ぐ見つめた。
「お前のその...俺ばっかり褒める文見てたら、なんかいたたまれない気持ちになったんだよっ....悪いか?」
真っ赤な顔で私を見つめる幸村。
それにまた自然と口角が上がる。
「ううん、嬉しい。それに....そこに書いてある言葉は全部本当の気持ちだよ」
「っ...」
そう、そのトリセツに書いてある言葉は本当に幸村を褒めるようなことしか書いていない。
そして....私の素直な気持ちも。
「だから...幸村がそう思ってくれたなら、嬉しいし...照れてくれたなんて幸村の知らない一面を見れた気がして...もっともっと嬉しい。」
「っ、お前っ....!」
「!!」
私が言葉を紡いで、幸村に笑いかけると。
幸村が目を見開いて。
次の瞬間には私は幸村の腕の中にいた。