第38章 大好きな君のトリセツ❥真田幸村
「ねぇ、幸村...」
そこでまたもう一度好きな人の名前を呼んだ時...
「何だ」
「あのね、私.....って、え!?」
あまりにも自然に入ってきた声に驚いて慌てて振り返ると...
幸村が例の”本"を持って立っていた。
「え...っ、なんでっ...!?」
あまりの驚きに体が固まる。
幸村がここにいることもそうだけど...どうして幸村があの”本"を...?
「っ、ゆき、むら、」
静かに近づいてくる幸村にかろうじて声を出す。
すると近づいてきた幸村が私にそっとその本を差し出した。
そして。
「...ごめん。」
と、一言だけ呟いた。
(え....)
どうして謝られたのかが分からない私は何も返事をすることが出来ない。
「どうして、謝るの...?」
そうかろうじて声を出すと。
幸村は私の隣に同じように座って、申し訳なさそうに眉を寄せた。
「お前の気持ち考えずに...発言した。」
「え....」
「お前のその....俺の、取扱説明書みたいなモン、作ってた理由も分からずに発言した。」
「えっ....」
幸村が目の前にある取扱説明書を横目で見ながら私を見つめる。
それに私は謝られたことより恥ずかしさが勝って...
(中、見られたんだっ...)
思わず、顔を抑えた。
「っ、中、見たのっ...?」
私がそう言うと。
「いや、中は見てない。」
と、間髪を入れずに返された。
「え、見てない、の...?」
てっきり見ていたと思っていた。
すると幸村は
「お前が隠してたやつを見るわけ無いだろ?」
と少し頬を緩ませた。
「っ、幸村...」
そんなところにもきゅんとくるが、そう言われるとなんだか素直になれそうな気がした。
「...見ていいよ。」
「え?」
気づけば言葉が滑り出ていた。
幸村を見ると、ほんとにいいのか?という視線で私を見る。
「うん、見ていいよ。」
私は再度そう言って返されたトリセツをもう一度幸村に差し出した。
それを幸村はゆっくりと取る。そしてもう一度私に確認の目線を向けて、
そっとページを開いた。