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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第37章 五月雨と恋の天舞曲❥織田信長




「あら、来てくれたの!もう今日は来ないかと思ってたのよー!来てくれてありがとね!」

私が頼まれていた反物を届けに行くと。

にこにこと奥さんが出てきて反物を受け取った。

そして私が遅れたのにも関わらず笑顔で接してくれる。


「いえいえ、私が遅れてしまったので...ごめんなさい。」


「もー!そんな謝らなくてもいいのよ!これからもよろしくね!」


私が謝るとまた奥さんは笑顔で接してくれた。

「はい...!これからもよろしくお願いします!」

私がそう言うと奥さんもにこっと笑って微笑む。



私は、この瞬間が大好きだった。


作り手と、貰い手が同時に笑顔になる瞬間。

この瞬間こそが私の針子仕事の生きがいにもなっていたのだ。









奥さんと別れて、少し暗くなった道を急ぎながらも私はさっきのことでるんるんと気持ちは明るかった。

(やっぱりこの時代は良い人が多いんだなぁ...)


きっと500年後だとあんなに笑顔で接してくれる人はなかなかいないだろう。


そして....あの人も。

見た目は冷たく見えた人でも、自分では気づいていないだけでとっても心が暖かい人だった。

(そういうところも、好きなんですよね...)


いくら離れていても、こうして思い出してしまう。

それが本当に好きってことじゃないのかな。、


なんて、思っていたとき....



「華...?」




後ろから声が聞こえた。

振り返るとそこには綺麗な猫っ気を揺らした武将の姿。


「あ、家康!」


家康とも忙しくて最近会えていなかったため、嬉しさに声が弾む。


「家康!久しぶりだね!」


そうして家康に駆け寄ると家康は少しだけ頬を赤らめた。

「っ、何、別に久しぶりって言っても3日くらいでしょ、」


「えー?私にとっては会えなかった3日は長いよ?」


素直に思ったまま返すと...


「やっぱり何でもない、あんたには言うべきじゃなかった。」


そっぽを向いてさきさき歩き出す家康。


「え!?なんで!?」


その理由がわからず慌てて追いかけると少しだけ家康が歩幅を小さくして歩いてくれていたことに気づく。


「ふふ、やっぱり家康は優しいね」


小さく言うと...

「意味分かんない。」


と、また天邪鬼な言葉が飛んでくるのだった。
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