第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
「っ、ありが、とう」
私がそっと言うと。
「俺も、ありがとう。さくら。これまで一緒に居てくれて。楽しかった。」
「うん、私もだよ。....じゃあね。」
さくらちゃんは最後にもう一度私達に笑みを見せると、今度こそ背を向けて走って立ち去った。
さくらちゃんが居なくなって。
二人で少しの間沈黙する。
「....なぁ、華。」
「...うん。」
最初に口を開いたのは政宗だった。
「俺は、さっきさくらが言ってたとおり...
お前が好きだ。」
「!!!」
政宗から紡がれた言葉。それは私を虜にするのには簡単だった。
でもにわかに信じ難くて聞き返す。
「っ、それ、ほんと...?」
心臓がどくどくと高鳴りすぎて頭にまでどくどくと血が波打っているように感じる。
「はっ、ほんとだよ。何で嘘なんかつくんだよ。」
政宗は笑いを浮かべて言う。
「俺は、ずっとずっと前から、お前のことが好きだった。」
「っ、政宗....」
政宗から紡がれる真っ直ぐな言葉に心を揺り動かされる。
「お前が、ずっと応援に来てくれてたことも知ってた。だからこそ、お前にどんどん惹かれていった。」
「だけど、今年くらいから人が多くなって、お前の姿を見つけられなくなった。それが悔しくて...こんな人混みで好きなやつ1人見つけられない自分も嫌だった。」
「そう、だったんだ....」
政宗から出てくる言葉に体が反応する。
「だから、さくらと付き合った。告白されて、舞い上がって頭がおかしくなっちまってたのかもしれない。」
政宗は自嘲気味に言う。
「だからこそ...お前の姿を見つけたときはこれでもかっていうくらい嬉しかった。それでさくらと別れることも考えたが...さくらのことを思うとなかなか言い出せなかった。」
政宗は話すごとに顔を歪める。
「それでも、好きじゃなかったとしても一応付き合った女だ。さっきみたいな辛そうな顔はさせたくなかった。」
「政宗...」
政宗が本当にさくらちゃんのことを気にかけていたことがその言葉から分かる。
「だが、こうしてさくらがチャンスをくれたなら...俺はもう一度お前に向き合ってみたかった。」