第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
「さ、くらちゃん、」
さくらちゃんの苦しい思いが痛いほど伝わってくる。
何故ならこれに煮た思いを、私は経験しているから。
「最初は、政宗を振り向かせようとしたけど、無理だった...なんで私が告白したとき付き合ってくれたのかも今では分からない。けどけどっ..私がどれだけ努力しても視線の先に居るのは私じゃなかったっ....!!」
「!!」
そのさくらちゃんの言葉に、さくらちゃんの痛いほどの思いが伝わってくると同時に、少しだけ期待してしまった。
その視線の先は....私なんじゃないかって。
(...自惚れるのはやめとこう。)
それで違うならあとあと辛くなるだけだし。
「さ、くら...俺は....」
また政宗がさくらちゃんの名前を呼ぶけれど。
「いいの。もういいんだよ。」
さくらちゃんがまたそれを防ぐ。
その言葉には半ば諦めのような感情も入っていた。
「政宗が私のことを見てないなら、もう私といる意味なんて、ない。そうでしょ?」
「っ...」
珍しく政宗が言葉を濁した。
「それにね、政宗。私は...政宗に、幸せになって欲しい。」
「!」
政宗が息を呑む。
私も同じように目を見開いた。
その言葉を聞いた瞬間、私はさくらちゃんの目がきらきらと輝いたようにみえたからだ。
目は口ほどに物を言う、とはこの事だろうか。
これがさくらちゃんが、伝えたかったことなのだと。
目がしっかりと語ってくれていた。
「だからこうして....場所を用意したの。」
(え...?)
「政宗と華ちゃんが想いを伝え合う場所をね。」
そう言うとさくらちゃんはくるりと私達から背を向けた。
そしてその後ろ姿のまま話す。
「政宗、私のことはもう気にしなくていいから。どうか想いを伝えてあげて。」
「...さくら...」
「華ちゃんも、どうか。政宗の想いを受け止めてあげてね。」
「さくらちゃんっ...」
その背中は愛しい人を手放す苦しさを物語っていて。
私も苦しくなった。
「ほんとに、いいの...?」
私が最後にそう聞くと。
さくらちゃんはぱっと振り返って。
「うん。幸せに、なってね?」
これまで見たこともないくらい綺麗な笑顔を見せた。