第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
心臓がどきどきと高鳴る。
(もしかして、もしかして、その好きな人って...)
「ね、ねぇ、さくらちゃん。その好きな人って...」
声が震える。
だけどその先を聞きたくてそのまま言うと。
さくらちゃんが口を開いた。
「あぁ。それは、....」
「今日はここ迄!!!各々きちんと練習するように!」
「「!!」」
「「「「はい!!!」」」」
さくらちゃんが喋ったところだけ綺麗に聞き取れなかった。
(嘘、このタイミングっ...!?)
「あの、さくらちゃん、もう一回...」
私がそう言うとさくらちゃんは少し考え込む。
そしてちらりと横を見ると私の方に向き直った。
「後は、本人から聞くのが一番じゃない?」
「え、本人??」
私がそういった時、
「さくら!....と、華?」
すぐそこで待ち焦がれていた人の声がした。
慌てて振り返る。
するとそこには泥んこになった政宗。
目をぱちくりさせてこちらを見ている。
そしてしばらくそうしていたが...
ずかずかとこちらに歩み寄り、私の肩をがっちり掴んだ。
「お前!自分の身は自分で管理しろよ!お前が倒れたときどれだけ心配したか....」
(やっぱり、心配してくれたのっ...!?)
そこまで言うと政宗はひとつため息をついた。
「もう体は大丈夫なのか?」
「う、うん。何とか...」
「そうか。なら良い。これからは自分でちゃんと管理しろよ?」
「うん、ごめんね...」
「あぁ。人生は楽しんだもの勝ちだからな。体調崩すなんてもったいないぞ」
そこまで言うと政宗はようやく落ち着き、さくらちゃんに向き直った。
「さくら、さぁ、行こ....」
「もう分かってるの!!」
「「!!」」
いきなり叫ぶさくらちゃん。
それに私も政宗も驚く。
「政宗が私のこと見てないことくらいっ、もう分かってるよっ...」
「っ、さくら...?」
政宗は掠れた声でさくらちゃんを呼ぶ。
だけどさくらちゃんはやめようとしない。
「これまで政宗が私を呼んでくれたとき、ほんとに嬉しかったっ...でもっ、政宗の視線の先にあるのは私じゃないって気づいたんだよ...っ!!」