第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
(っ、ほんとに勢い余ってきちゃった....)
私はグラウンドのいつもの場所で立ち尽くしていた。
サッカー部は相変わらず必死にボールを追いかけている。
もちろんその中に政宗もいた。
何故か沢山いた政宗ファンの人達がいなくなってるのは疑問に思ったけれど。
さくらちゃんがぽつんと立っているのを見つけて私はその横に立つ。
すると私に気づいたさくらちゃんがはっとした顔を浮かべた。
「華ちゃん!大丈夫だったの!?」
「うん、なんとか...ごめんね、お騒がせして。」
「ううん、いいよそんなこと!もう元気になったの?」
「うん、もう大丈夫なんだけど...」
私は周りをきょろきょろと見渡す。
「政宗のファンの子達はどこに行ったの?」
「あぁ、私が帰らせたの。」
「!?」
さくらちゃんから飛び出た言葉に驚く。
「な、なんでそんなこと...」
「華ちゃん、政宗のこと好きなんでしょ?」
「!?!?」
私の言葉を遮って言うさくらちゃん。
そして何かを諦めたように喋る。
「政宗が華ちゃんを運んだときに確信したの。もう私じゃ駄目なんだって。だって前々から華ちゃんの事見てたの知ってたし....」
ぼそぼそと話すさくらちゃん。
話の内容は聞こえないが不満そうな顔をしていることは分かる。
「あ、の...?」
どうして私が政宗のことを好きなのが分かったのか。
それを聞こうとすると...
「じゃ、政宗にももう言っておいたから、心置きなく告白してきなよ!」
「え!?!?」
色々突然すぎて頭がついていけていない。
「あの、それどういう...?」
「だーかーら!政宗を譲ってあげるって言ってんの!」
「!」
いつものさくらちゃんとは違う口調に驚く。
だけどさくらちゃんはそのまま続けた。
「政宗は私のことなんて見てなかった。私が一方的に好きだっただけだった。だから探したの。政宗は誰を見ていたのか。それで、華ちゃんになったの。」
「え、でも...政宗はいつもさくらちゃんを...」
「あの時だけ。毎回毎回、私をああして呼んでは、裏ですぐ離すんだもん。嫌でも他に好きな人がいるって分かった。」
「え、」
(今、他に好きな人って...)