第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
「あー、良かったぁ、伊達くんが運んできたときもぐったりしてたから驚いたんだよー!」
「え、」
きいちゃんの口から伊達くん、という言葉が出てきたことで身体が無意識に固まる。
ちらりと先生を見るが何も気にしていないようにこちらに背を向けて作業を開始していた。
「伊達くんも凄い心配してたし...お礼言いに行こうかな...」
「え...まだサッカー部やってるの?」
「うん、華が倒れてからあんまり時間経ってないよ」
そう言われて時計を見るとまだ4時だった。
(そっか、サッカー部はいつも6時までやってるもんね...)
サッカー部がハードスケジュールなのは知ってる。
それもあって何か力になれないかと応援に行っていたのもあった。
「それで...今からお礼に行こうと思うんだけど...行く?」
にやにやと答えが分かっているように聞くきいちゃんに顔が赤くなる。
「べ、別に私は政宗のことなんて好きじゃな....」
「あ~!!やっぱりそうなんだ!前から怪しいと思ってたの!」
「えっ!えっ!?」
いきなり叫ぶきいちゃんに驚きを隠せない。
(き、気づかれてたの!?)
「結構前から伊達くんの事ばっか見てるなーとは思ってたの!やっぱりそうなのか〜ふむふむ」
(完全に気づいてるし、完全にからかってるよね、これ....)
100%バレたことにもう隠す必要はないと胸を張る。
「そうだよ、政宗のことが好きなの!」
はっきり言うと何だか自分まで恥ずかしくなってくる。
でもそれと同時に...何か虚しいものがこみ上げてきた。
「ほおーらやっぱり!!いいんじゃない?イケメンだし優しいし?」
きいちゃんか何か言っているのに答えられない。
(でも、政宗にはさくらちゃんがいるし....告白しても、やっぱり迷惑かな....困らせるだけかな....)
いつも強気なのにどうしてこういうときに限って弱気になってしまうんだろう。
すると私の様子に気づいたきいちゃんがそっと私を覗き込む。
「どうしたの?いきなり落ち込んで...」
その優しい声色に何故かすべてを話したくなって私は一気に話し出した。
「っ、あのね、きいちゃんっ...」