第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
きいちゃん...は小柄だから絶対無理だし。
一体誰が運んでくれたのか。
私は好奇心から先生に聞いた。
「あの、誰がここまで運んでくれたんですか?」
すると先生はあぁ、と頷く。
「えっとね、確か....
伊達政宗くん、だったかな。」
「!!」
(えっ....)
驚きに体が固まる。
政宗がここまで運んでくれたの?
あそこにはさくらちゃんもいた、よね?
そこで私はかろうじて声を出す。
「あの...まさむ、伊達くんは、何か言ってましたか?」
「あぁ、えっと、無理はしないようにってきつく言っといてくれ、とは言われたわ」
先生が少し笑いながら言う。
「その子はあなたのことをすごく考えているってことが伝わってきたわよ、本当に必死そうだったのよ?」
「政宗が...?」
想像できない。
だって政宗はさくらちゃんが...彼女がいて。
私のことなんてこれっぽっちも頭の中にないんだと思っていた。
(どういうこと...?)
ふらふらの私を見兼ねて運んでくれたのかな。
そう思うと何だか納得がいった。
(そうだよ、政宗は私のことなんて気にしてない....)
そうは思うものの運んでくれてきたことに隠しきれない喜びを感じる。
(政宗に、会いたい。)
根拠も何も抜きに素直にそう思った。
(やっぱり私....政宗のことが好きだ。)
忘れようとしても、涙を流しても、やっぱり、好きだ。
それがたとえ、
彼女がいたとしても。
(政宗に好きって言ったら何ていうかな...)
彼女が居るからごめんと言われるだろうか。
(一応真面目だからな...丁寧に断りそう...)
そう思ったとき、
きいぃ、と保健室のドアが開かれた。
「!」
すると入ってきたのは....きいちゃん。
「華?大丈夫?」
心配そうに眉を寄せて私に駆け寄るきいちゃん。
「うん、なんとか....ごめんね、心配かけて。」
「もうー、心配したんだよ?ほんとに大丈夫?」
「うん、もう今はかなりすっきりしたよ!」
きいちゃんの心配を失くすためににこっと笑ってみせる。
するときいちゃんは安心したように微笑んだ。