第35章 SAY YOU LOVE ME 『後編』❥伊達政宗
私が俯いている中、みんなの楽しそうな声と政宗の声が聞こえる。
「...え、華?今度はどうしたの?」
聞き覚えのある声。
それにそっと顔を上げる。
「きいちゃん....」
友達のきいちゃんが立っていた。
でも今日はまだみんな居るし、政宗も騒いでいる。
さくらちゃんの隣で。
「き、いちゃんっ....」
何だか気が抜けてきいちゃんに歩み寄ってぎゅっと抱きつく。
「え、ちょっとどうしたの?大丈夫?」
「うん、あのね...っ!?」
私がきいちゃんに事の次第を話そうとしたとき。
不意に視界がぐらりと歪む。
「ちょっ、華!?」
「っあ...?」
そのままきいちゃんの方に倒れ込む。
「ねぇ!華!大丈夫!?」
そうは言うものの意識は確かに薄れていく。
(っ、何で急にっ...)
すると遠くでもこの騒ぎが伝わったのか政宗の声も薄っすら聞こえた。
「.... 華!?」
(あ、やばい、意識、失うなぁ...)
そんな状況の中で冷静にそんなことだけを考える。
そして誰かがこちらに走ってくる音の後に、大きな手に抱きかかえられるのが分かった。
(あ.....もう駄目だ)
だけど。そこで私の意識はぷつりと切れた。
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「ん....?」
私はふと目が覚めてゆっくりと目を開ける。
そこで目に飛び込んでくるのは真っ白な天井。
消毒液の匂い。
そこて私ははっと起き上がった。
すると同時に声が聞こえる。
「あらあら、無理したら駄目よ〜?まだ体が疲れてるんじゃない?」
慌ててそちらを見ると保険の先生が作業をしながら私に話しかけていた。
「あ、の、私どうなって....」
「グラウンドで倒れて連れられて来たのよー?簡単な検査したら、ストレスによるものそうだから、ちゃんと休みなさいよ?」
「ストレス、ですか...」
(ストレス...)
私は気づかぬうちにそんなストレスを抱えていたのだろうか。
そんなものは政宗のことしか思い当たらない。
でも私はそれ以外に気になることがあった。
(...誰がここまで運んでくれたんだろう。)