第34章 SAY YOU LOVE ME 『前編』❥伊達政宗
すると政宗は訝しむように私を見つめた。
その目から、何かを怪しんでいることは手に取るように分かる。
「ねえ、どうしたの?ほんとに一限始まるよ?」
だけど私はわざとそれには気づかないふりをしてさらに言うと。
「.....おう....分かった」
政宗はなんだか腑に落ちない表情をしながら諦めて自分の教室へと帰っていった。
政宗がいなくなって
一人になる。
(これで、良かったよね?)
自分で自問自答する。
そうだよ。
彼女がいる人に何かを期待したところで何も起こらないのは分かってるでしょ。
心の中の声が答える。
それに私は納得して頭を切り替えた
(....私も戻ろっと。)
私は自分の瞳をもう一度確認して今度こそ教室へと戻った。
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放課後。
私は校門へと足を向けていた。
いつも見に行くサッカーは今日は見に行かないと決めたのだ。
(ちゃんと政宗を諦められないもん、ね?)
政宗を諦めるには姿を見ないことが一番だと思った。
そこで校門へとしっかりと足を進めていると...
「あれ、華ちゃん?」
昨日聞いたことのある声が響いた。
そこで私も頭を上げると...
にこっと咲いながら私を見る...さくらちゃん。
「っあ...さくらちゃん」
何も言葉が出てこない私は名前だけを反芻する。
さくらちゃんはにこにこ笑いながら私を見つめる。
「華ちゃんも今から政宗のところに行くの?私も行くんだ!良かったら一緒に行かない?」
「え、....いや、私は...」
私は政宗のところに行く気はない。
そう言おうとするけど...
「じゃあ決まりだね!はい、行こ!!」
さくらちゃんが私の手首をがっちり掴んで私が今来た道を戻りだした。
(え、え、ええええ!?)
「い、いや私は....」
そう言おうとするもののさくらちゃんはもうグラウンドまで来てしまっている。
(....仕方ないなぁ....)
ここまで来たのに振りほどいて帰るのはさすがに可哀想だなと思う。
そこで私は途中から抵抗をやめてそっとさくらちゃんについていった。
これが最後だと、自分に言い聞かせて。