第34章 SAY YOU LOVE ME 『前編』❥伊達政宗
政宗は私がいた事を分かっていなかった。
そして、今は、さくらちゃんがいる。
その存在はきっと政宗にとっても、私にとっても、色んな意味で大きい。
(政宗は私のことなんか、見てないから。)
もう、一年前の政宗とは別人だと言い聞かせる。
(政宗は今幸せなんだよ、さくらちゃんといて。)
そう思うと、何だか少し心が軽くなった気がした。
(そうだよ、可愛いさくらちゃんといる方が、政宗も嬉しいじゃん、こんなブスと一緒になったところで....)
ぽた
手のひらに、温かいものが落ちる。
ぽた
ぽた
それは止まることなく、頬を滑り落ちて、手のひらに向かう。
(そう、だよ、私はっ...政宗に相応しくないっ....)
その熱い雫は、私の未練?
政宗のことを好きだったこの想いを、雫が、流してくれるの?
そうだったら、どれだけ良かったか。
私の想いも、全て流してくれたら。
そうしたら、楽になるのにな.....
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翌日。私は泣きすぎで腫れた瞼を冷まそうと必死で目を洗っていた。
それが学校についてから気づいたから困る。
(最悪だっ...昨日泣きすぎたっ...)
目が腫れるよってところで涙が止まってくれる機能があったら良かったのになぁとも思うものの、
昨日流した涙はきっと意味があったものだと思える。
(...仕方ないよね。)
昨日の涙は政宗を諦めるために必死で流した涙だ。
(でも結局諦められなかったし...)
まぁでも昨日は仕方ない、そう思うことにして瞼を洗っていると...
「...痛っ!」
何かが目の中に入った。
「っ...何?」
慌てて目を擦るも全然取れない。
「っ痛い....」
痛さからまた涙がぽろりと出てきてしまう。
(やばい、また涙が....)
そう思ったとき。
「おい、華!?」
「!?」
昨日頭を悩ませた声が飛び込んでくる。
それでも痛すぎて目を開けられない私はそっと声を出した。
「政宗....」
その声に反応した政宗が私の肩をつかむ。
「おい、どうした、何で泣いてるんだ!?」
その必死な様子に少し笑ってしまう。