第34章 SAY YOU LOVE ME 『前編』❥伊達政宗
「....」
政宗は黙って私を見つめている。
その瞳に、すべてを暴かれそうな気がする。
だけど、わたしは政宗に確認したいことがあった。
ねぇ、さくらちゃんのこと、好き...__?
一向に口を開かない政宗にこちらから声をかけることにする。
「ねぇ、政宗、さく....」
「政宗!!」
「「!」」
私の声に被さるようにして入ってくる声。
それに私の身体は硬直する。
それとともに政宗もそっと右手を上げた。
「おう、....さくら。」
「っ...」
動きたい、動きたいのに硬直したまま体が動かない。
そして、どんどん後ろから足音が近づいてきて....
可愛い声で、名前を呼んだ。
「政宗!おまたせ!」
「!!」
そこで私はようやく気づく。
政宗は、さくらちゃんを待っていたのだと。
「っあ...私....かえる、ね、」
声が震える。
手足も震えた。
それでもいい。
今すぐここから逃げ出したいと、心が叫んでいた。
さくらちゃんは不思議そうに私を覗き込んでいる。
そこで政宗がそっと私に笑いかけた。
「おう、また、明日な。」
その声を聞いたときにはもう、私の足は走り出していた。
必死に走って走って...息が切れて、肺が辛くなっているのも構わずに走り続ける。
そしてようやく家についたときには...
息も絶え絶えでかなりふらふらになっていた。
だけど....もっともっともっと。
心のほうが、悲鳴を上げていた。
(政宗、あなたは.....さくらちゃんを、待ってたんだね。)
でも、普通に考えればそうだ。
彼女と一緒に帰るために待っていた彼氏。
彼女は笑顔で彼氏に駆け寄る。
それだけ切り取ったら、最高の青春だ。
だけど、そこには私がいる。
それだけで、二人の世界を壊してしまうようで、怖かった。
そして、その現場を見てしまったのにもかかわらず....
政宗を諦められない、自分も、嫌だった。
(....もう、応援は行かないようにしよう。)
その夜。
私は自分の部屋で一人うずくまって考える。