第4章 夢のなかだけじゃ物足りない❥豊臣秀吉
(さぁて、どんなお礼をするかな。)
これで華に世話を焼ける理由が一つ増えた。
「ありがとうな。早速今日から使ってみるよ。」
そう言って秀吉は華の頭にぽんっと手を置いた。
「礼は何がいい?」そう聞くと...
「えっ、お礼なんて要らないよ!私がしたくてやったことだから。気にしないで?」
「そうか...分かった。なら今度城下にでも...」
そう言いかけた時
「華様〜?どこに行かれたのですか〜??」
華の名前を呼ぶ女中の声が聞こえた。
「あ、私お仕事中だったんだ、!」
「ごめんね、秀吉さん、私もう行くね!」
「お、おう」
それだけ返事をするとまた華は来たときのように、たたたっとかけて帰って行った。
「廊下は走るなよっ...」
そう言いかけて、止めた。
なにが、廊下は走るなよ、だよ。
もっと華に言わなければならない言葉がある筈なのに、きっとまだ俺は、お兄ちゃん を演じたいのだろう。
それも全部華に嫌われないようにするため...
(何、考えてんだ俺は。)
(さっさと政務に戻ろう...)
そう思いながらも秀吉の手にはしっかりと華から貰った袋が握られていた。