第4章 夢のなかだけじゃ物足りない❥豊臣秀吉
秀吉は最近、寝不足だった。
立て続けに入る政務と信長さまの金平糖を隠すのに疲れきっていたのだ。
でもなぜか寝つけそうにない。
そういう日々が続いていた、ある日のことだった。
「秀吉さん!」
(ん?)
声のした方に振り返ると廊下をたたた、と、走って向かってくる華の姿が見えた。
「こら、廊下は走るなよ」
そういうと華はいきなり足を止めて歩いてやってきた。
こういうとこも、可愛くて堪らないんだ。
秀吉は華への恋心を自覚していた。
最初はただの可愛い妹のような存在だと思っていたが、時節見せる表情や行動などに惹かれていったのだ。
華は俺のところまで辿り着くと、
「秀吉さん、最近眠れてないんだよね?噂で聞いて...もし良かったらこれ使ってくれないかな?」
そう言って渡されたのは小さい小袋だった。
「これなんだ?」そう聞くと、
「匂ってみて?」そう言われたので素直に従い、匂いを嗅ぐと...
(これは... 華の匂いだ。)
「それね、香り袋って言って、眠りを良くするためのものなの。もし、秀吉さんが眠れていないなら使ってほしいと思って...」
(なるほど、)
華は俺が眠れていないのを聞きつけてわざわざ眠るためのものを持ってきてくれたって事か。
そこで秀吉はふっと息をもらした。
(優しいな、こいつは。)
こうやって他人の為を思って行動できる。
そんなところにも惹かれたのだ。