• テキストサイズ

『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第34章 SAY YOU LOVE ME 『前編』❥伊達政宗





するとこちらに近寄ってくる政宗の姿。


その姿に否応なしに心臓が高鳴っていく。


そして私達の前で足を止めた政宗はこちらに向かってにっこりと笑う。


「おう、お前ら、また来てくれたか?」

「「はーい!!」」

「また明日も応援頼むな?」

「「うん!!」」



そんなふうに、もはや誰に話しかけているのか分からないほど皆が大きい声で返事をする。

それに加えて私は背が小さいから、余計その中に埋もれてしまうのだった。


でも、それだけなら、まだマシだった。


まだ、政宗が私たちだけを見ていてくれたのなら。

その中に、私がいたのなら。



だけど。





政宗に、一つの変化が現れたのだ。


いつもならここで身を翻すのに、政宗は誰かを探すようにきょろきょろとあたりを見渡した。


そして。



「お!さくら!!」




誰かを見つけると、その人に向かって手を差し伸べる。


その子も、やっと見つけてくれた、という表情で政宗の手を取って。


そして政宗がその子をぐいっと引き寄せた。



「「きゃぁぁぁあ、!」」



途端に上がる黄色い声。



それを私は毎度のことながら放心して見つめる。


何故ならその子は。





政宗の、彼女、だから。



そのさくらという子は政宗の腕の中で可愛らしい笑みを浮かべる。


そりゃそうだ。

さくらちゃんは私の学年でも一番可愛いと評判の子。


そんな子と付き合った政宗は最初は男子からブーイングを受けていたものの、結局お似合いなので応援されることとなった。






(...ほんっとにバカだよね、私って....)



何度思ったかわからない台詞。

それをもう一度思う。


皆が政宗たちを見つめて騒いでいる中、私は一人俯く。



政宗の中で私の存在さえも薄れてきてしまっていることは知っていた。

最近声もかけられなくなったし、クラスも同じじゃないから。


でも....



「...ちょっとくらい、私のこと、見てくれても良かったのになぁ...」



政宗に彼女が出来る前に。


私が告白すればよかったの?


でもそんな勇気、一年前の私にはなかった。



(私が、バカだったんだよ...)



不意に涙が出てきそうになって慌てて前を向く。











/ 487ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp