第34章 SAY YOU LOVE ME 『前編』❥伊達政宗
「おいっ!!そっちいったぞ!!」
「おう!任せとけ!」
放課後に、そんな声がグラウンドに響き渡る。
そして次の瞬間。
サッカーボールが大きくネットを揺らした。
そこで湧き上がる黄色い歓声。
「おい!!政宗!!さすがだな!」
「はっ、こんなことくらい余裕だよ」
そんな声も聞こえてくる。
そして、その中心にいるのが、伊達政宗。
私の....好きな人だ。
(うわぁ...今日もかっこいいなあ....)
私はそんな政宗を遠くから見ていた。
周りの子たちも政宗の虜で後ろできゃあきゃあ言っている。
「政宗、ほんっとにかっこいいよね!」
「ほんとに!イケメンがしたら何しても画になるし!」
(やっぱり人気だな....)
私はその声を聞いてまた少し肩を落とす。
一年前の、一年生の時までは政宗のファンなんて一人もいなかった。
私一人で応援して、私一人で叫んでいたのに。
今ではこんなにたくさんのファンがいる。
「...私が、先だったのに、な」
政宗が人気になったのは、この前の合宿だろう。
リクリエーションでサッカーをしようということになり、政宗が大活躍したことから、すごく人気になった。
だけど私は初めてクラスが同じになったその時から、
何か違うものを政宗に感じていた。
今こそクラスは一緒ではないものの、こうして応援しに来ている。
もともとおとうさんがサッカーをしていたこともあり、サッカー部のマネージャーをしようとも思ったが、どうしても入りたい部活があり、入れなかった。
だからせめてもの、ということでずっと応援してきた。
(一年前は、もっと絡んでくれたのにな....)
そこで私はふと昔のことを思い出す。
『お!華か!また来てくれたのか?』
『うん!今日も良かったね!』
『あれくらい余裕だって!』
そうして私の頭をそっと撫でる。
それが毎日の日課だった。
その仕草と、プレー中の姿。何にでも真面目にするクラスでの様子。
そこから私は政宗の虜になってしまった。
だから、こうして今も通っているんだけど....
「あ!政宗来たよ!」
その声で私は慌てて前を向く。