第32章 星空は愛の囁き❥徳川家康
(え、なんで...?)
俺が疑問に思って華を見ると。
「!!」
暗がりでも分かるくらい、華の顔が赤く染まっていた。
「っえ...」
その顔に俺も赤くなってしまうのが自分でも分かった。
そのままどれくらい見つめ合っただろうか。
最初に口を開いたのは華だった。
「あ...ごめん、なんか変な雰囲気になっちゃったね!それで、あの星なんだけど...」
(...急にどうしたんだろ)
今回は一方的にぺらぺらと喋り続ける華。
その後も口は止まることなく、ずっと話していたが。
「...っていう神話があるの!星座って面白いでしょ?」
そう言ってようやく華は止まった。
「う、うん」
俺はその猛攻とも言える喋りっぱなしの華に感嘆しながらも考える。
(...そうだ、俺はあんたに伝えなきゃいけないことがあったんだ。)
華が、世界一可愛いこと。
華の事を、誰よりも想っていること。
華のことばかり考えていること。
華の姿を目で追ってしまうこと。
たくさん伝えたいことはあるけど。
この感情は、多分、「好き」っていう感情なんだって知ったから。
だから、伝えるよ。
世界で一番大切なあんたに。
俺の真っ直ぐな思いを。
華が黙って星だけが瞬いているとき。
俺はそっと口を開いた。
「俺は...あんたに言いたいことがあるんだ。」
「...言いたいこと...?」
華は首を傾げる。
そんな仕草が男を煽っていることさえも分かっていない。
「そう、それはね.....
あんたが、好きだって言うこと。」
「...!!!!!」
華の目が大きく見開かれる。
そして俺をじっと見つめた。
そのまま何も言わない華に少し不安を覚える。
(もしかして、嫌だったとか...?拒まれたりしたら...)
その先を考えるだけでも身体が震える。
そこで、ようやく華が口を開いた。
「あのね、家康....私も、言いたいことがあったんだ。」
「?うん」