第31章 星空は愛の囁き❥共通
「あれ、華様?」
(げっ)
俺は咄嗟に声が出そうになるのを心の中だけに留めておく。
だがあいつはそのまま華に語りかけた。
「華様、会えて嬉しいです。久しぶりですね。」
「三成くん!久しぶりー!」
華は笑顔で答える。
すると何故かあいつが先程の星空の話を持ちかけた。
「ところで、さっき聞こえていたのですが....家康様と星空観察に行くんですか?」
「あ、うん、そうなの!」
「その星空観察....私も連れて行ってこれませんか?」
「え?」
(は?)
多分俺と華は同じ瞬間に声を上げたと思う。
その後に華の困惑した声が聞こえた。
「っ、でも、その席二人がぎりぎりで...三人じゃ座りにくいんだ。」
(そうだ、そうだ!)
俺は心の中で同調する。
三成なんて来られたら告白なんてどころじゃない。
「そうですか...行きたかったです、残念です...」
だが三成は想像以上の落ち込みを見せた。
「っ、あっ、どうしよう...っ」
それに動揺した華が迷っているのが分かる。
俺を連れて行くのか。
三成を連れて行くのか。
そのどちらかで迷っているんだろう。
彼女はしばらく悩んでいたが、俺の姿を見つけるやいなや、三成を連れて俺のもとへ来た。
「家康!!あの、さっきの話なんだけど、三成くんも来たいって言ってて.....」
そう言いながら目尻を下げる華。
その姿にも胸が高鳴るが、努めて平静を装う。
「その、席が二つくらいしかなくて、三人は座れないの....」
悲しそうに言う華。
それさえも愛しく感じる。
「だから、二人で決めてくれないかな、」
「え」
(は)
華の口から放たれた言葉は衝撃的なことだった。
「私じゃ決められなくて....三成くんと話し合って欲しいの。」
華はそれだけいうと今度こそ背中を後ろに向けた。
「じゃあ家康、三成くん、どっちが私と一緒に行くか、決めてね!」
「え、ちょ、華...」
そんなのとを言っている間にも華は行ってしまった。
取り残されたのは俺と三成の二人だけ。