第30章 愛が貴方に届いたら❥明智光秀
「折角隠そうとしていたのに、その努力が無駄になった。」
「っえ...?」
意味が分からなくてそっと光秀さんを見上げる。
するとそこには今まで見たことのない優しい目をした光秀さんがいた。
「み、つひでさん...」
ただ何もすることが出来ず名前を呼ぶと...
光秀さんがそっと笑った。
「やはりお前には本心を隠すことが出来ないらしい。」
「っ、それ、どういう...」
「まだ分からんか?」
(えっ....?)
それでも分からない私に光秀さんがまた笑う。
「そうか。小娘にはちゃんと行って聞かせないと駄目だな。」
「っ、小娘って....!」
(まだそう呼ぶの?)
私が怒りかけるも、光秀さんが私の唇をそっと人差し指で押さえる。
「まぁ待て。お前に言わなければならないことがあると、最初に言っただろう?それを先に聞け。」
「っ、は、はい...」
私がそう言うと光秀さんは少しだけ息を吐く。
そして私を真っ直ぐ見つめて。
「...好きだ。華。」
愛を落とした。
「っ....!!!」
初めての、光秀さんからの告白。
それに否応なしに心臓が高鳴る。
「っ、あ...み、つひでさ...っ」
手に入れたかったあなたの心が。
やっと、やっと、私の方に、振り向いてくれたの....?
どくんどくんと自分でも聞こえるほど心臓が大きく鳴る。
視界はもう既にぼやけており、光秀さんの顔も見にくい。
すると、
「ふ、こんな言葉ひとつで涙を流すとは....やはり可愛いな。」
そしてそっと私の涙を拭う光秀さん。
(これはっ...夢、じゃないよね...?)
目の前にある光景が本当かウソか確かめるのが怖いほど幸福に包まれていた。
「光秀さんっ...本当ですかっ....?」
ようやくとぎれとぎれの声を出すと。
「あぁ。神に誓ってこの言葉は本当だと言おう。」
(っ.....!)
その言葉にまた涙が溢れだす。
私と光秀さんの糸が一本になったのだと。
そこでようやく実感した。