第30章 愛が貴方に届いたら❥明智光秀
私の言葉に驚いたのか光秀さんが少し目を見開く。
そして口を開いた。
「....お前には、影を歩くなと頑なに言われると思ったのだが。意外だな。」
「私は....少しだけですけど、光秀さんのことが分かった気がするんです。だからこそ、光秀さんのことは応援したい。」
(貴方がすべてを分かって暗い道を歩んでいること。全部全部否定しません。だけど。)
「だけど、やっぱり暗い道は歩んで欲しくありません。.....だから。」
私は覚悟を決める。
多分のこのセリフは告白に近くなるだろうけど。
これが私の本心だから。
「光秀さんの道を、一緒に歩かせてくれませんか...?」
「!!」
今度は大きく光秀さんが目を見開いた。
「お前....」
と、驚いたように声を出す。
だけど私は止まらない。
半ば叫ぶように伝えたい想いが飛び出てきた。
「私はっ...光秀さんに辛い思いをして欲しくないんです!勿論それが運命だと光秀さんは受け入れているけど...私は、それは望みませんっ...」
光秀さんがもっと大きく目を見開いて私を見つめた。
「だからっ...お願い、一人で影を歩かないでっ...私も、連れて行ってくださいっ....何故なら、私は光秀さんがっ....!!」
光秀さんの心に、届いて。
今こそ、貴方の側にいさせて。
届け。この想い。
「好きなんですっ.......!!!」
「っ、この、馬鹿っ...!!」
私がそう叫ぶと同時に。
光秀さんの声が聞こえて。
その次の瞬間、
私は光秀さんの腕の中にいた。
「っ...!?」
突然のことに驚いて身体を離そうとするも、光秀さんがそれを許さない。
それどころか更に強く抱きしめる。
(みつひでさんっ...?)
その意味が分からなくて何も言えずに押し黙っていると...
「...お前には敵わん。」
少しだけ掠れた光秀さんの声が聞こえた。
「っ、光秀さん....?」
私がそっと声を上げると。
光秀さんが抱きしめる力を弱くした。