第30章 愛が貴方に届いたら❥明智光秀
(軍議から色々世間話に持っていってさらっと告白したほうが絶対自然だよね!...よし。)
そこまで考えてようやく口をそっと開いた。
「あの、光秀さん....少し、気になったことがあったんですけど...」
「ほう。なんだ言ってみろ。」
「軍議の、時なんですけど...」
そこまで言うと光秀さんが少し顔をしかめる。
「....それがなんだ。」
「その、やっぱり光秀さんは....拷問とか、そういうことをする立場なんです、よね....?」
「....」
少しだけ間が空く。
(どうしよう、駄目なところに触れちゃったかも。)
「あっあの、嫌なら全然....」
「そうだ。」
「...え、」
光秀さんがはっきりと答える。
「俺はこの安土城の面子の中では一番影が似合っているだろう?」
そう言って不敵に笑う。
(っ、私はそんなことないと思うけどな。)
いっつも秀吉さんと言い合いをしながらも、やっぱりどこか楽しそうな光秀さんの姿を見たことがある。
「...俺は、俺の大望を叶えるためならば、それくらいはするさ。」
「光秀さんの、大望ってなんですか...?」
「平和な世を、築くことだ。」
しっかりとそう言う光秀さんの目からはしっかりとした覚悟が見えて。
「俺には、この暗い世界がお似合いだ。」
あぁ、この人は生半可な気持ちで影を歩いているのではないのだと、思い知った。
(...だけど。)
私は光秀さんに、影を歩いてほしいとは思わない。
もちろんそういう義務を背負わなければならない人はいるけど。
光秀さん一人で背負わなくてもいいんじゃないかな、とは思っていた。
だけど、さっきの光秀さんの目を見て。
光秀さんは覚悟の上で暗い道を歩んでいるんだなと思った。
なら、せめて。
私が一緒に、その道を歩きたい。
「...私は、そうは思いません。」
気づくと言うはずの無かった本音が滑り出していた。
「...なんだ。」
光秀さんが私を見る。
それを合図に私は光秀さんへの思いを語っていく。
「私は....光秀さんに、暗い影を歩いてほしいとは思いません。」
「.....」
「だけど、それが光秀さんの本心だって分かったので、止めはしません。」
「!」