第30章 愛が貴方に届いたら❥明智光秀
(っ、長くって、どれくらい?)
光秀さんがいない期間なんてたとえ喋れていなかったとしても辛い。
だけど光秀さんはそれに畳みかけるように言葉を被せた。
「....もしかしたら、帰ってこられないかもしれない。だが努めて早く帰ってこれるようにしますが。」
(えっ....!?)
それに私は分かりやすく驚きを顔に出してしまう。
だけどそんなことはどうでもいい。
光秀さん、もう帰ってこられないの...?
そう思って光秀さんを見つめていると、ちらっとだけ私を見た。
でもその目からはなんの感情も読み取れず、すくにふいっと顔を戻してしまった。
「...これで以上です。」
「あぁ。大義だった。これからも頼む。」
「御意。」
光秀さんと信長様の会話が遠くで聞こえる。
(光秀さんは、もう戻って来れられないかもしれないの...?)
それだったら、私の思いはどうなるの..?
光秀さんに伝えられないまま終わってしまうの...?
(それだけは絶対嫌。)
手のひらをぎゅっと握りしめて私は誓う。
(光秀さんに、この想いを伝えよう。拒まれても、笑われても、伝えないで終わるのは、もっと悔しい。)
「次は秀吉。貴様が報告しろ。」
「はっ、この間の謀反の事ですが....」
そのまま軍議は続いた。
だけど私の頭の中は光秀さんのことばかりで埋まっていた。
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「おい、華?」
(やっぱり光秀さんに想いを伝えるべきだよね。)
「おーい、華ー?」
(いやでも迷うなぁ....)
「おーい、聞いてんのかー?」
(ううん、やっぱり伝えないと!!)
「おい、華っ!!!!」
「!!!!」
私がはっとして顔を上げると、秀吉さんが呆れたように私を見つめていた。
「お前いつまでここにいるんだ?軍議はもう終わったぞ?」
「え、も、もう終わったの!?」
「もうって、結構前に終わったんだが。」
「え、そうなの!?」
「あぁ。何か考え事してたらしいが、ちゃんと周りを見ろよー?」
「っ、うん、ごめんなさい...」
(は、恥ずかしいっ...)
私は慌てて立ち上がり広間の外に出る。
(光秀さんのこと考えてたなんて、言えないっ...)