第30章 愛が貴方に届いたら❥明智光秀
でも
私はこんな他愛ない話を光秀さんとするのが楽しかった。
それが後々恋だと分かってからは、もっとその時間を大切にしたいと思っていた。
だけど...
光秀さんは絶対に本心を見せてくれない。
前よりかは距離が近くなったと思ってもまだ素顔を見せてくれない。
そんな私にもいつか、光秀さんの本心を覗けるときが来たらいいな。
そんなふうに軽く思っていたけど。
その瞬間は、もうすぐそこまで来ていたのだ。
光秀さんに揶揄われた後ににまだ少し余韻の残る顔を落ち着かせて歩き出す。
あれから光秀さんは言いたいことだけ言うと私にいつの間にか持ってくれていた荷物を返してさっさと歩いて行ってしまった。
もう少し側にいたかったな。なんて思ってもそれがあの人の性格なのだから仕方ない。
最近はそう思うようにしていた。
それに、光秀さんとは全然ここのところ会えていないし...
さっき会ったのは本当に久しぶりの事だった。
だから私は嬉しかったんだけど...
(...光秀さん何も思わないのかな。)
ただ、小娘に会ったと。それくらいしか思っていなのだろうか。
そう思うとかなり心が沈む。
でも
(...こんなの私らしく無いよね。)
落ち込んでいる私なんてつまらない。
明るい性格だけが取り柄なのに私から笑顔を抜いたら何が残るのか。
そう思った私は笑顔を作ってまた歩き出した。
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(ふぅ、結構大きい荷物だったな。)
信長様から頼まれた荷物を届け終わってようやくため息をつく。
かなり大きな荷物だったから少し腕が疲れてしまったかもしれない。
(ちょっとだけ休もうかな?)
さっきほかにやることはないかと女中さんに聞いたところ何もないというので届け終わってから部屋に帰ってきたのだ。
そう思ってふぅ、と畳に横になる。
すると...
(あれ、急に眠たくなってきたな...)
目が開けることを拒否しているように瞳が落ちてきた。
ここのところ忙しく働いていたからだろうか、
いやでも光秀さんに会えたし今日は良いことあったのにな...
そんなことを考えている間にも私はもう夢の中に入っていった。