第3章 二人の恋の交差点 ❥徳川家康
家康目線
その日の夜。
俺は華が来るのを今か今かと待ち構えていた。
早く伝えてしまわないと溢れそうな想いがあるのだ。
その時...
とんとん
(っ、来た)
「いっ家康さん、華です。」
「うん、入って。」
そういうと華はどこか気まずそうに部屋に入ってきた。
「...あの、なんの御用でしょうか?」
華が言う。
もう伝えてしまわなければ。
この君への想いも全部。
「あの、さ。早速本題に入りたいんだけど...、俺華の事が好きなんだよね。」
「えっ...?え、え、え...?」
華は目を泳がせてすごく困惑しているようだった。
(しまった、さり気なく言う作戦失敗だ。)
さり気なく言ったら恥ずかしさも少なくなるだろうと思って、実行してみたが、確かにそうだった。
でも、...
(この子はちゃんと言ってあげないと伝わらないんだもんな。)
家康は腹をとうとう括った。
この子を自分のものにしたい。
めいいっぱい愛したい。
笑顔を俺だけに向けてほしい。
ずっと、側にいて欲しい。
きっともっと数え切れないほどの望みが出てくる。
でもそれはこの子に想いを伝えてからじゃないと、始まらないから。
伝えたい、想いが、ある。
素直になれない俺だけど。今はちょっとだけ素直になるから。
ちゃんと、聞いててよね。