第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
かといって秀吉さんは拳をわなわな震わせて光秀...!と言っているし。
(っ、恥ずかしい...)
一気に羞恥心が沸いてくる。
すると光秀さんはそのふたりに向き直った。
「御館様。華を連れ去っても良いですか。」
その光秀さんの発言に信長様は更に笑って、
「構わん。好きにしろ。」
と、一言光秀さんに投げかけた。
すると光秀さんは
「有り難き幸せ。」
と、同じように一言返す。
だけど、
「おい!光秀!!俺は許したわけじゃないぞ!大体お前が華を連れ去るなんて...っておい!!まだ話は終わってねぇ!!」
秀吉さんが説教をしている間にも光秀さんはもう背を向けていた。
後ろで秀吉さんの大きい声が聴こえる。
「...あとで謝っとかないと。」
と、光秀さんにも聞こえない声で一人私は呟いた。
そのまま光秀さんに御殿に連れて行ってもらい...
そっと部屋の畳に降ろされる。
「今日はやけに静かだな。」
光秀さんがおろした私の瞳を覗き込んでいった。
(っ、だって、恥ずかしいやら嬉しいやらで何も言葉が出てこなかったんだもん。)
今でもこうしてちゃんと光秀さんの匂いがすると、涙が出てきてしまいそうになる。
(あの時、諦めないで、良かったっ...)
ワームホールに飛ばされそうになったあのとき。
本当に諦めないで良かったと、今なら胸を張って言える。
光秀さんのあの時の声も体温も全て覚えている。
(今度はもう、離れるなんてこと、無いんだよね。)
そう思うとより一層瞳に涙が溜まってきた。
そんな私を光秀さんは静かに見つめていたが、そっと私の方に手を伸ばして、私を抱きしめた。
「っ、光秀さん...」
少しだけたじろぐが、そのままその腕の温かさに呑まれる。
(そうだよ、光秀さんは...冷たいようで、ほんとに、あったかい。)
それはきっと私が一番知ってる。
「...華。」
そう思ったとき、ふいに光秀さんが私の名前を呼んだ。
「...はい。」
私はそっと答える。
すると光秀さんもそっと口を開いた。