第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
「君がほっとしたようで良かったよ」
佐助くんも安心したように眉を下ろす。
「君が心配してるんじゃないかなと思ってわざわざ来たんだ。それに...」
佐助くんが何か言いかけようとしたその時、
「おい、佐助。」
威厳のある声が響いた。
その声に佐助くんも少したじろいだが、振り返って信長様を見つめた。
「...貴様、ここが敵陣だということが分かっているのか。」
信長様が少し間をおいて告げる。
その言葉に佐助くんは少しだけ顔を歪めたが、
「そうですね、じゃあ俺ももうそろそろ退散します。... 華さん、元気で。」
一瞬だけ私をしっかりと見つめると、佐助くんは今度はきちんと笑みを浮かべた。
「...うん。またね。」
私のその言葉を合図に佐助くんはぽんっと何かを地面に叩きつける。
それとともに煙が巻き上がり、気づいたときには佐助くんはいなくなっていた。
「...何だか急に来て急に去ったやつだったな。」
秀吉さんがぽつりと呟く。
(確かに。でも佐助くんが良い人だっていうのは信長様もきっと分かってくれている筈だよね。)
それはさっきの信長様の視線で分かった。
(皆が敵味方関係なく分かり合える日が来たらいいなぁ。)
と、考えたその時。
ぐいっ
「!?」
いきなり後ろに腕を引かれ、温かい何かに飛び込んだ。
慌てて上を見上げると...
「光秀さん...っ」
「もう心配事は無くなったか?ならば俺達は今から何をするべきだと思う?」
「っえ...」
(いきなりっ...)
だけどその真っ直ぐな瞳に否応なしに心音が大きくなっていく。
「っ、取り敢えず...御殿に戻ること、ですか?」
私がそう言うと光秀さんはにやっと口の端を上げて、
「あぁ。そうだな。そこで俺達が何をするかのちに考えるか。」
「っ...!」
そこで何をするのか、もう分かっているだろうと言いたげの瞳に見つめられて下を向くと、
ぐんっ
「っえ!?」
今度はいきなり光秀さんに抱きかかえられていた。
「ちょっ、光秀さんっ...!皆もまだ居るんですよっ...!」
恥ずかしくなって慌てて周りを見渡すと、
信長様はにやりと笑って仁王立ちしてこちらを凝視しているし。