第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
そして、時は流れ。
「はぁ、はぁ、はぁ...」
私と光秀さんはようやく安土城の門をくぐっていた。
(こんな遠かったの聞いてない...)
荒い息を吐きながら呼吸を整える。
それでも隣の光秀さんは未だに涼しい顔だ。
(流石戦国武将って感じだな...)
私がそう思った矢先。
「おい!!!!華!!!」
「!?」
いきなりそんな大きな声が響いたかと思うと一人の男の人がずかずかと私に近寄ってきた。
その姿を確認した私の背中に冷や汗が流れる。
「ひ、秀吉さん...」
近寄ってきたのは秀吉さんだった。
すると秀吉さんは私のそばに来るやいなや説教を始める。
「おーまーえーな!!俺が政務から帰ってきて机に何かあると思ったら!何なんだあの別れの文は!!現代に帰るとかなんとか書いていたがどういうことなんだよ!俺に一つも相談せずに一人で悩むなとあれほど....」
そこまで言って秀吉さんはひとつため息をつく。
そのため息に落ちていた私の肩はビクッと上がった。
(そうだよね...何も言わずに出てきちゃったから...もっと怒られるかな。)
私がそうして下を向くと...
「おい、そこまでにしてやれ。」
どこからか威厳のある声が響いた。
その声に慌てて顔を上げる。
「っ、信長様..」
その声に秀吉さんもぱっと頭を下げた。
しかし信長様はそんな秀吉さんを一つ見ると、私の方に視線を戻した。
でもその視線は怒っているようなものではなくて...
(なんだか楽しんでるような...)
私がそう思っていると、信長様が口を開いた。
「貴様、やはりやりおったな。」
「え、」
いきなりの発言に驚く。
すると信長様は更に可笑しそうな声を上げた。
「貴様が何か悩んでいるのはもう既に分かっていた。そして貴様が光秀によって連れ戻されることもな。」
「え!?」
その信長様の言葉につい大きな声が出てしまう。
(え、信長様は全て分かっていたの!?いやでもそんなことあるわけ...)
そう思って信長様をちらっと見る。
そこにはにやりと笑う信長様の顔があって。
(やっぱり分かってたのかも。)
と、前言撤回した。