第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
慌てて顔を上げると、光秀さんが私の頬をむぎゅっと押していた。
「みっ、みひゅひでさんっ?」
抑え込まれてまともに話せない言葉を紡ぐ。
「なっ、なにしてるんでひゅか!」
でも光秀さんはぎゅーっとそのまま私の頬を押した。
「みみみ、みひゅひでさん、!!!」
その圧に耐えきれなくなった私は必死に光秀さんに叫ぶと、光秀さんはようやく私の頬をぱっと離した。
それにすぐさま私は抗議する。
「もう、何してるんですか!?」
すると光秀さんは一言、
「...面白くない。」
と、呟いた。
「え?」
聞き取れなかった私が聞き返すと。
「お前が、俺が目の前にいるのに、他のことを考えているのがイヤだと言っている。」
「...えっ!?」
思わず口を手で抑えてしまう。
(え、これって寂しがってるってことだよね..?光秀さんに、こんな一面があったの...?)
じわじわと体の体温が上がっていく。
(光秀さん、そんなに私を想ってくれてるんだ...)
何だか感極まって光秀さんを見つめる。
すると光秀さんは何故か吹き出した。
「ふっ...やはり俺の思った通りの反応だ。」
(え)
可笑しそうにお腹を抱える光秀さん。
「ちょっ、どういうことですか!!」
何だか遊ばれているような心地がして眉をつり上げた。
すると。
「いや、そうして俺の言葉をすぐ真に受けるお前が可愛いと思っただけだ。」
と、にやりといつもの笑みを浮かべた。
「っ...!!」
(か、か、可愛いって...)
意図的にその言葉を放っているのだと分かっていながらもどきりと心臓が高鳴る。
でも私はそこでちゃんと気持ちを切り替えた。
「っ、そのことは置いといて、夏香さんがどうなったか...本当に気になります。」
いくら光秀さんの恋仲で勝手に敵視していた人とはいえ、やはり短い間でも仲良くしたのだ。
心に引っかかるものがあった。
「...そうだな。取り敢えず、城に戻るか。」
光秀さんもその気持ちを汲み取ったのかそっと私に告げる。
「はい...」
そうして私と光秀さんは安土城への道を歩んでいった。