第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
そう、今ここにいるのは...
「...私が愛した、光秀さん...」
私はそっと呟く。
するとその声を拾ったのか光秀さんも体を離してこちらを向いた。
そして、口を開く。
「... 華。これまで、辛い想いをさせたな。」
「...!!」
まるで光秀さんが自分が私を忘れていたことを覚えているような、何だか不思議な言葉に目を丸くする。
そんな私に光秀さんはぽつりぽつりと話し始めた。
「...最初は、ちょっとした違和感だけだった。夏香が隣にいるのが当たり前の筈だったのに...お前が現れてから、何かが違う気がした。」
光秀さんは光秀さんの本心だと思われる言葉を述べていく。
「その違和感はお前がちょくちょく顔を出すようになってから、もっと大きくなっていった。...もちろん夏香の事は愛していたんだ。その時は。」
(....っ)
私はその言葉に少しだけ顔を歪める。
(やっぱり、愛してた、よね。)
それでも光秀さんの言葉を聞こうとそっと耳を傾けると、光秀さんも更に口を開いた。
「...もとから初めて会った気がしないような娘だと思っていたんだ。何だかそばにいると....和まれるような、変な心地がした。」
「だが、お前が何の情報もなしに消えたとき、俺の中にお前の情報が流れ込むように入ってきた。...俺が、お前と恋仲であったことも。」
(...!)
光秀さんが私を真っ直ぐ見つめながらも更に口を開く。
「そして、瞬間的に思った。お前を追いかけなければ、と。」
そこまで言って光秀さんはもう一度私を見つめた。
「っ、みつひで、さんっ...」
もう瞳が霞んで光秀さんの顔を見られない。
ちゃんと見ようと瞬きを何回かすると熱い雫が頬へと流れ落ちた。
そんな私に光秀さんはふっと一つ笑うと私の涙をそっと拭う。
「...まだ、聞いてくれるか?」
「っ、はい。」
こうやって確認をちゃんと取ってくれて、私の様子を見てくれる。
(そういうとこも、好きなんです...)
私の確認をとると更に光秀さんは言葉を紡ぐ。