第26章 君と私の約束五箇条❥伊達政宗
(っ、殺されるっ...!)
私が目を瞑ったその瞬間。
がきん!!
そんな鈍い音がしたかと思うと、私は大きい背中に守られていた。
「おい!怪我ないか!」
そう叫ぶ、その人は...
「っ、政宗!!!」
私の大好きな人だった。
政宗はそのまま男をあまりにも、あっけなく倒す。
その男は倒されながらも政宗に憎悪の目を向けていた。
「っ、伊達政宗...!!俺はお前を絶対に許さない...!!」
「それはお前が俺に匹敵出来るようになってから言え。」
しかし、政宗はそれを一喝し、その太刀筋でその男は倒れた。
そして後ろからついてきていた家来の人たちにその身柄を引き渡す。
「...こいつの処分は後で俺が考える。取り敢えず牢屋入れとけ。」
「はっ。」
その一言でその人はささっと連れて行かれた。
「っ、政宗...」
私は政宗に向き直る。
だけど政宗はいきなり私の手をがっと握って歩き出した。
「え、政宗...?」
私がそう問いかけるも政宗はそのままずんずんと進む。
(御殿に向かってるのかな...)
御殿の方向に向かっているのは分かるのだが、政宗の表情は読めない。
でもその検討は大体ついていた。
(私が約束破ったからだよね...)
取り敢えず今は大人しくついていくのが得策だろう。
そう思いながら私は政宗に御殿へと連れて行かれた。
「あの、政宗...」
御殿の中の政宗の部屋につき、それでもなお口を開こうとしない政宗にそっと声をかける。
すると政宗はようやくこちらに向き直った。
「...お前どうして約束を破ったんだ。」
そして私に低い声で告げる。
「っ...それは...」
言い返す言葉が何も見つからずにそこまで言って黙り込んでしまった。
そんな私を見て政宗ははぁ、と溜め息をつく。
(....っ、)
その溜め息に私は身体をこわばらせた。
もしかしたら約束も守れない私に愛想を尽かしたのかもしれない。
そう思って下を向くと...
ぎゅっ
と、温かいものに包まれる。
「っ...」
それが政宗の体温だと気づくのにそう時間はかからなかった。