第26章 君と私の約束五箇条❥伊達政宗

「あ、の、政宗...？」

私が抱きしめられながらもそっと声を上げると、政宗もそっと私の体を離す。


「...分かってたんだよ。」

「え？」


政宗が口を開くもそれがどういう意味かは分からない。


「あの、それどういう...」

私が言いかけると政宗がその続きを話すように口を開いた。


「お前が、危険に晒される可能性があるって。」

「え...」


(どういうこと？)


私がその言葉を続きを待つ。

すると政宗もその続きを語りだした。


「前々から目星をつけてた奴がお前を狙ってたことは知ってた。だから本当は城下になんて行かせたくなかったんだよ。だが、お前が楽しみそうに笑ってるの見たら、止められなかった。....だから、無理に約束を作って守らせようとした。」


政宗は言いながらも私の目をまっすぐと見つめる。


「ま、さむね...」


それほど私を大事にしてくれていたのだと心がじーんと染み渡るように満たされていく。

「っ、うん、これから気をつけるね。」

私は政宗の背中に手を回しながら言う。


(...っていうか)


あの約束をすると言い出した政宗のあの声と表情はこれまで見たことないものだった。


「っ、ふふ」

私はその時のことを思い出してつい吹き出してしまう。


「...？おい、なんだよ」


政宗は急に吹き出した私を不審に思ったのか体を離した。


「政宗の、約束するぞ！って言い出したときの顔がっ...ふふ、面白くてっ...」


それを聞くと政宗は珍しく顔を強張らせた。

「お前、それは必死でだな...！！」


政宗が反論しようとするものの私はそれを許さない。

「ううん、かなり面白かったよ？」

私がにやりと笑うと政宗はむっとした顔になって後ろを向いた。


「俺はもう知らないからな、！」


(ふふ、この反応も珍しいなぁ)


...そんなことを思いながらも、助けにきてくれた政宗は本当にかっこよかった。まるで、ヒーローみたいに私を守ってくれた。その姿にまた私は惚れ直した。





(...なんて、言えないけど、やっぱり、政宗のこと大好きだなぁ。)







私はそれを深く確認して後ろ向きの人へと手を伸ばした。






大好きで、世界一かっこいい私のヒーローを抱き締めるために。





終。