第26章 君と私の約束五箇条❥伊達政宗
「っ、わ、分かった...!!」
春華ちゃんは大きな声で返事をすると一目散に走って目の前から消えていった。
(っ、取りあえずは...)
私はそう思うが、そこでいきなり政宗との約束を思い出す。
(っ、ごめん、政宗...約束全然守れなかった...)
春華ちゃんを助けようと思ったら体が勝手に動いていた。
いくら政宗との約束でも、春華ちゃんを見捨てることはできない。
私は引きずられながらもそう思った。
それから、私は小さな小屋へと引き込まれる。
(っ、何されるんだろう。)
いくら政宗を呼びに行ってもらったとはいえ、やはり恐怖が沸いてくる。
男はにやにやと笑いながらこちらに近づいて...
(...!!!)
刀を私の喉元へと向けた。
「やっぱり伊達政宗の女だったか。」
その男はなおもにやにやと笑いながら私に告げた。
その顔に何の感情も読み取ることができなくて、体が硬直する。
そんな私を見ながらもその男は語りだした。
「...俺はな、伊達政宗に故郷を壊されたんだよ。」
その男の話によると、昔政宗に謀反を起こしたところ、返り討ちにされて故郷が復興できないほどになってしまったらしい。
「俺は、絶対に伊達政宗を許さない。」
そう唇を噛んで言うその目には憎悪しか浮かんでいない。
そしてその目のまま私を見るとまたにやりと笑った。
「だからな、元々お前を攫うつもりだったんだよ」
「...え?」
その言葉に思わず声がもれてしまう。
そんな私の様子を見た男は更に笑みを浮かべた。
「お前の横にいた女なんてどうでも良かった。だがお前はおせっかいっていう話を聞いたからな。横にいる女に絡んだらお前が来るだろうと思ったっていう話だ。」
「え...」
じゃあ元々私を攫うつもりだったってこと...?
(私はそれにまんまとはまったってことだよね....)
頼り気のない私に気持ちが沈む。
そんな私を見ながら畳み掛けるようにその男は言った。
「それに、この小屋は周りの風景に完全に溶け込んでるからな。簡単には見つけ出せないはずだ。」
(っ...じゃあ私はどうなるの?)
これからこの男に何をされるのか。
未だに刀を突きつけられたままだし。
背中に冷や汗が伝う。