第26章 君と私の約束五箇条❥伊達政宗
「わぁー!!この反物すごく綺麗!」
私が反物屋さんについてすぐに目に入ったのは淡い青色と波模様が混じり合った反物。
(政宗に似合いそうだな...)
私がそう思っていると春華ちゃんがぱっと私の手元を覗く。
「わぁっ、この反物、すごく綺麗ですね!」
と、きらきらと目を輝かして言った。
「だよね!私もそう思うんだ!」
春華ちゃんと私は本当に価値観がよく合う。
だからこそ、一緒にいてもいつまでも飽きないのだ。
反物屋を出てからもすぐに行く場所が決まり、そこまで歩き、おしゃべりをする。
その時間が私にとってはすごく楽しかった。
でも、楽しい時間はあっという間。
気づけば日も傾きかけていた。
「もう...暗くなるね、」
春華ちゃんがそっと呟く。
「うん...」
私もそっと返した。
本当はまだ帰りたくない。
だけど、早く帰らなければ完全に日も落ちてしまう。
灯りがないこの時代では日は落ちたらもう真っ暗で何も見えないのだ。
そのことを分かっていた私達はそっと帰路へとつき始めた。
そこでも他愛のない話をして、惜しみながらも春華ちゃんと角で別れたとき...
「よぉ、姉ちゃん。可愛いじゃん。」
そんな声が聞こえたかと思うと、いきなり春華ちゃんの悲鳴が聞こえた。
「きゃっ!何するんですか!?」
私がその声に振り返ると、一人の男がいた。
その男は春華ちゃんの腕をつかみあげて路地に引き込もうとしている。
「えー?いいじゃんよ、俺と愉しい事しようぜ?」
そうは言うものの、その男の目には下心しか見えず。
私はすっとんでその男の方へと向かった。
「ちょっと!何してるんですか!」
私はその男をきっと睨みつける。
「あぁ?なんだよ姉ちゃん、お前が俺と愉しい事したいのかぁ?」
男はそう言うと春華ちゃんの手を離して私の腕を掴んだ。
私はその隙に春華ちゃんに叫ぶ。
「春華ちゃん!逃げて!」
「っえっ、!!」
春華ちゃんは驚いた顔をして困惑した。
「で、でも華ちゃんはっ...」
「だから、城に戻って、政宗を呼んで!!」
私は体を引きずられながらも必死に叫ぶ。
「お願い...!!」
私が叫ぶと。