第3章 二人の恋の交差点 ❥徳川家康
家康目線
(あの子、やっぱり気づいてなさそうだなぁ)
なんとか素直になれない気持ちを押しやって華に遠回しに恋心を伝えたつもりだったが、華には届いていなかったらしい。
(でも、)
あの真っ赤になった顔...
堪らなく可愛かった。
その後に俺を上目遣いで見つめてくるのも...
わざとやっているようにしか見えないくらい、可愛かった。
(あの子に惚れすぎだろ。)
自分でもそう思うが、好きなのだから仕方がない。
好きな子は何をしていても可愛く見えるというのを初めて家康は知った。
____どうやって想いを伝えるか、
不器用な家康には検討もつかなかった。
ひとつだけ思い浮かぶのは...
すきだよ。
と、華に言うこと。
鈍感なあの子にはそれ以外の方法は見つからないだろう。
(もうそろそろ腹を括らなきゃな。)
もうすぐで華を城に返さなければならない時が来る。
その時までには華に想いを伝えなければ。
しかし、その時間は刻一刻と迫っていた。