第3章 二人の恋の交差点 ❥徳川家康
もしかしたら、私と家康さんの気持ちは同じなのかもしれない。
そう期待を抱いた私は思いきって、家康さんに声をかけた。
「あのっ、家康さんっ」
そこで漸く顔を上げた家康さんの顔はまだ真っ赤だった。
「っ、家康さんは...そのっ、私のこと、どう思って、ますか?」
とぎれとぎれになりながらもそう伝えた。
「俺は...」
そこまで言うと家康さんはいきなり私のほっぺをむぎゅーっとつねった。
(!?)
「...可愛い。」
(!?!?)
いきなりすぎてどう反応すればいいか分からない私は家康さんのことをじっと見つめていた。
顔が真っ赤になっているのが自分でも分かるほどに。
「ねぇ、あんた、それわざと?」
「え?」
わざとも何も、私は、家康さんの言いなりになっているだけだ。
「あの、それって一体...」
そう聞く前に家康さんは私のほっぺからぱっと手を離すと、
「そういうことだから。」
「っ、え?」
どういうことか全く分からず、また家康さんを見つめていると...
「だから、それ、わざと?」
「わざとってなんのことですか...?」
「ほら、やっぱり分かってない。」
家康さんの発する言葉の意味が分からなくてただ戸惑っているだけの私。
その時、家康さんが席を立った。
「はい、そこに薬置いとくから、好きな時間に飲んで。あと、働くのは厳禁だから。ちゃんとあったかくして寝ときなよ。」
そういうと家康さんはさっさと部屋をでていってしまった。
(家康さんの気持ち、聞き出せなかったなぁ)
...でも、家康さんと私の距離は絶対に近づいている。
華はそう確信した。