第25章 消えない想いはいつの日か。『後編』❥明智光秀
「やっぱり、光秀さんに会っておくべきだったかなっ...?」
溢れだした涙はとまらない。
そして、雷も確実にこちらに向かってきている。
しかし、その人の声は鳴り止まなかった。
「華っ...!!華っ...!!!」
必死に私を探すような声にまた涙が溢れ出る。
その声は鳴り止むことなく、豪雨でもうほとんど前が見えなくなった草むらに響いていた。
その声に私は返事をするようにそっと名前を呼ぶ。
「光秀さん...っ」
すると、響いていた声はぴたりと止まった。
そして、誰かの足音が聞こえてきた。
(っなに...?)
そう思った瞬間、
ガッシャーーーン!!!!
大きな雷が一つ落ちた。
「っあ...」
それとともに、私の視界も歪んでいく。
でも、その足音は止まらなかった。
(っ、何なの...?)
薄れゆく視界で必死に目を見張って見えた光景は。
「...!!!!」
「光秀さんっ....!?」
愛しい人がこちらへと駆けてくる。そして必死に私へと手を伸ばした。
「華っ、行くな...!」
光秀さんが叫んだ。
(なんでっ...?)
疑問を抱きながらも、私も必死に手を伸ばす。
そして、光秀さんの手が、私の指先へと届いたその瞬間____。
目の前が、真っ白になった。
その眩しさに目を瞑る。
そして、次の瞬間に目を開けた。
______が。
そこに、光秀さんの姿はない。
目の前にあるのは、
『本能寺跡地』
と、書かれた石碑だけだった。
「も、どって、きた...?」
周りをゆっくり見渡すと、私が飛ばされて来る前のところと全く同じ風景。
「っ、うぁぁあああっ、!うわぁ、っ、ひっ、うわぁぁっ、!!!」
すると、せきを切ったように溢れだす涙と嗚咽。
そして、心の中では。
(光秀さんっ光秀さんっ....!!!)
必死に光秀さんの名前を呼んでいた。