第25章 消えない想いはいつの日か。『後編』❥明智光秀
「あのね、政宗。これまで仲良くっていうか、その政宗がいたおかげで楽しく過ごせた。ありがとう。」
「...あぁ。別にそれは良いが...いきなりどうした?」
政宗はいきなりこんなことを言う私に驚いたのか目を丸くしている。
それに私は、
「ううん、ただ言いたくなったの。」
と、軽くかわした。
そして私は政宗の部屋をあとにした。
華がいなくなった政宗の部屋では...
「あいつ、一体何考えてんだ...?」
と、政宗がひとり呟いた。
次に行ったのは家康へのところ。
「あの、家康...私ね、家康と過ごしてすごく充実してた。家康から教えてもらったこととか、全部忘れないからね!」
と、部屋へと入れてもらった途端口を開いた。
「...何、いきなりどうしたの。」
いつもの調子で言う家康。
それさえも懐かしくなるな、なんて私は一人考えていた。
「ううん、家康にこれまでお礼を言いたくなったの。」
「...ふーん。なら毎日言いに来てくれる?あんたはいっつも落ち着きないから。」
「ふふっ、分かった。また、いつかね。」
私はその言葉も軽く笑うと、じゃあまたね、と言って家康の部屋を出た。
華が出ていった家康の部屋では...
「あの子、絶対何かあったでしょ、あの様子...」
と、家康がひとり呟いていた。
私はほぼ全員への挨拶を終えて部屋へと帰ってきていた。
秀吉さんと三成君は政務で今安土にいないらしい。
だから手紙をそれぞれの部屋へと置いておいた。
(寂しくなるなぁ...)
そうは思うものの、私の頭の中は違う人で埋められていた。
_______唯一、光秀さんだけには、挨拶をしていないのだ。
きっと、光秀さんに会って話をしても、私は光秀さんに何も言えない。
そう思った判断だった。
(...もうそろそろ佐助くんが来る頃だな。)
外は曇り始めている。
それは、ワームホールが来ると。そう意味しているものだ。
すると、
こんこんっ
頭上から音が響いた。
(っ、来た。)
そしてひょいっと顔を出したのは、佐助くん。
「やぁ、華さん。迎えに来た。」
「っ、うん。」
私は色々複雑な思いを抱えながらも返事をする。