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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第25章 消えない想いはいつの日か。『後編』❥明智光秀




(光秀さんがこれに反応したとは限らないでしょ、過剰反応しただけかもしれないし...それにこの時代に居れるのはあと少しなんだから、その時間を楽しまないと。)


そう思って私はすっと立ち上がり、城下の街へと足を延ばして行った。











________________



翌朝。


私は久しぶりに光秀さんの部屋の前まで来ていた。

(うう、緊張するなぁ、)

信長様に書簡を預かったので届けに来たのだ。

前までは恋仲だったといえども、今は他人のような関係。


光秀さんに何と声をかけようかしっかりテストしたところでそっと襖の外から声をかける。


「あの、光秀さん、いらっしゃいますか...?」



「....」


返事はない。


「あの、光秀さん、書簡を届けに来たんですけど...」


「....」


またもや返事がなかった。


(ええ、どうしよう。この書簡渡せませんでした、って言って信長様のところへ戻るのも流石に勇気いるし...)


そこで私は覚悟を決めて部屋の中へ入ることにした。


文机の上に置いておけば後からなんとかなるだろう。

「...よし。」


私が気合を入れてそっと襖を開けると...



「...!!」







夏香さんと、光秀さんが、寄り添いあって、眠っていた。






「っあ...」

目の前の光景に少しふらつく。


...そうだよ。分かってた。こうなってるってことは。

隣にいるのは私なわけはなくて。いま光秀さんにとって大切な存在は夏香さんなのであって、私ではないと。


分かってた。けど。


「...」

私は書簡をそっと文机の上に置くと、足の力が入らずに思わず座り込んでしまう。


「あ...」


そして隣には仲良く二人で眠っている光秀さんと夏香さん。


それを私はまるで他人事のようにしばらくは見つめていたが、


「んん....」


「!」

夏香さんが少しみじろぎしたのを見て、私は慌てて立ち上がり、そっと部屋から出て行った。



廊下を歩きながらさっきの光景を思い浮かべる。


(そうだよ、分かってた。分かってたんだよ。光秀さんのそばにいるべきは私じゃないって。分かってた。分かってたけど...)

いざああして見せつけられると、つらい。

心なしか早足になっている気がした。

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