第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀
(...あれ?この会話、どこかで...)
どこかで聞いたことのある会話に何故か心がざわめく。
私は頭を必死にひねり、どこで聞いたことあるのかを思い出した。
(!これって...)
この会話は、間違いなく聞いたことのあるものだった。
何故なら...
私と光秀さんがした会話だから。
(え...なんで...)
この会話はつい最近した会話だった筈だ。
そう、私と光秀さんが針子部屋で交わした...
全く同じ会話に思わず目を見張る。
すると、光秀さんの瞳が一瞬だけちらりとこちらを見た。
「...!」
その瞳にどくんと心臓が高鳴るが...
光秀さんは私を見るとすぐに夏香さんに視線を戻した。
(...だよね...。)
わかっていたはずなのに、やっぱり心が重くなる。
すると夏香さんがいきなりこちらを向いた。
「あの...皆さん。少しだけ、光秀さんと過ごしてきても良いですかね...?」
かなり遠慮している声。
その言葉に針子のみんなはにやにやと笑って、
「「「行ってらっしゃい!」」」
と、口を揃えて言った。
夏香さんはそのみんなの反応に顔を赤らめたが、光秀さんの行くぞ、という一言によってぱっと弾き出されたように光秀さんのあとをついていった。
「...。」
なんだか居心地の悪くなった私は黙り込む。
さっきの光秀さんの瞳は、本当に夏香さんしか映していなかった。
そんな私の様子を見てか、一人の針子の子が近づいてくる。
「華ちゃんどうしたの?気分悪い?」
優しく聞いてくる彼女の優しさが伝わってくる。
「あー、うん、大丈夫、!」
しかし私はその優しさをそっとかわした。
本当は今すぐこの部屋を抜け出したい。
でも、それをするとみんなに迷惑がかかるから。
私がまた黙り込んだのをどう思ったのか、その子はいきなり立ち上がると、
「あー!体調悪いのね、大丈夫!?ここは私達に任せて、さぁ休んで!」
「え、!?」
突如大きな声で叫び出した。
その声に周りの子も驚く。
それでもおかまいなしにその子は私を立ち上がらせると、問答無用に針子部屋から追い出した。
「えっ..なんでっ...」
突然のことに驚いて言葉が出ない私にその子はそっと笑いかけた。