第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀
「何か悩んでるんでしょ。そういうときは城下にでも出てぱーっと発散するのが一番だよ?」
「っ!」
図星だ。
その子は私の反応に確信を持ったのか、また優しく微笑むと、
「ゆっくりでいいからね。」
と言ってさっと襖を閉めた。
(っ...なんでこんなに優しいの?)
ここの人たちはやっぱり優しい人たちばかりだ。
だから私が自分を見失いそうになっても戻ってこれる。
ここはその子の優しさに甘えることにして、私はふらっと城下に行くことにした。
(...あ、そういえば光秀さんと夏香さんもここにいるんだっけ。)
活気のある城下に出てどこへ行こうかと考えていたところにそんなことが急に思い浮かんだ。
(...鉢合わせしたらどうしよう。)
それこそ本当に気まずくなる。
いや、気まずいと思っているのは私だけなのだろうけど。
(まぁいいや。今日はちょっとストレス発散しなきゃね、!)
そうしなければあの子の優しさに甘えた意味がない。
私は先のことは置いといてとにかく歩き出した。
いつも来ている反物屋さんにつく。
「わぁっ...」
すると一番に目に入ってきたのは淡いスカイブルーのような色と綺麗に織り込まれた白が合わさっている反物。
(これ、絶対光秀さん似合うな...)
頭の中で光秀さんがこれを着ている風景を思い浮かべる。
(ふふっ...ほんとに似合う。)
私は知らずにふっと微笑んだ。
(...でも、これを買うのはやめとこう。)
どうせ作っても受け取ってくれるわけがない。
もし、この反物で着物を作るときが来るのは...
恋仲には戻ったときか、お別れになるときかな。
なんて、軽く考えていた。
(ふぅ、結構歩いたなぁ)
私は佐助くんがいつも来ている茶屋さんまで歩いてきてしまった。
(やっぱり歩きながら周りの景色を見るのが一番のストレス発散かも。)
もともと綺麗な景色を見るのが好きな私にとっては、歩きながら移り変わる景色を見るのは大好きだった。
(...光秀さん達にも、会わなかったしね。)
そうして茶屋でほっと、息をついた。
その時。
「華さんっ...!!!!」