第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀
(久しぶりだな...一人で寝るの)
私はその夜一人で布団の中に潜り込んでいた。
当然光秀さんと一緒に寝れるわけもなく、一人で横たわる。
(っ、なんか、寂しい。)
いつも光秀さんと寝ていたのが慣れていたせいかあまり寝付きがよくない。
(...いっつも、頭を撫でながら今日あったことととかの話をして...ほんとに、楽しかったなぁ)
無くしてから気づく大切さ、とはこういうものを言うのだろうか。
(どうしよう...寝られない。)
光秀さんが隣にいることが当たり前すぎてもう眠りにつくのには光秀さんが必要になっているのだろう。
(っ、私、馬鹿だ。)
いない人のことを思って寝られないなんて。
よっぽどその人のことが好きなんだって、再確認した。
(...ほんとに、寝られないな...)
もう時刻は丑三つ時頃だろう。
頑張って目を瞑るも、浮かんでくるのは光秀さんの姿ばかり。
(ちょっと頭冷やそうかな...)
きっといつまでもこうしていても寝られないし、光秀さんのことばかり考えるのは目に見えている。
私はそっと布団から抜け出して、水を飲むために台所へと向かった。
(っ...寒いな薄手過ぎたかな?)
外は風がひゅうひゅう吹いている。
(寒い寒い寒いっ....)
私は寒すぎる安土城の廊下を慌ててかけていった。
(ふう、ついた....ってあれ?)
台所に電気がついている。
(信長様が金平糖とりにきたのかな?)
そう思うとふっと笑いがこみ上げる。信長様はいつも金平糖を夜に台所に漁りに来てるのを私は知っていた。
そう思って私がそっと台所に足を踏み入れると...
「...っ!?」
そこには、光秀さんが居た。
(っ、どうしてこういう時だけ会う頻度が高いんだろう...)
向こうはあっちを向いていて、まだこちらには気づいていなさそうだ。
(今のうちに...)
私はそっと足を翻して部屋へ戻ろうとしたが...
「...居ることは分かっているぞ?」
「!」
その言葉で私の体は硬直した。
そしてゆっくりと振り返る。
すると光秀さんがこちらを見てにやりと笑っていた。