第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀
「落ち着いて、華さん。何があったかゆっくり説明して。その前に、とりあえず場所を移動しよう。」
「っ、うん...!」
そこから、私と佐助くんは茶屋へ行き、すべての事柄を佐助くんに話した。
「...っていうことなの...。」
話しているだけでも心がどんよりと曇る。
その話を聞いた佐助くんは頭をぐーっと捻らした。
「なるほど、要は起きたら光秀さんの隣には別の女の人がいて、光秀さんは君の存在を忘れていた、というわけだね?」
「うん、そうなの...」
「そうか...」
佐助くんはうーん、と悩む仕草をする。
「それは...何かワームホールが関わっている気がする。」
「え、そうなの...?」
「あぁ。ここに来る前の研究所でそういうことも研究していたから。このケースはそこで研究していたものと似てる。」
「っ、じゃあ、私と光秀さんはどうなるの?」
ついつい食いかかって聞いてしまう。
「...いや、まだ分からない。帰ってからまたちゃんと調査しないと詳しいことは分からないけど、とにかく何か分かったら連絡するよ。」
「...うん。お願いします。」
「...もしかしたら少し時間がかかるかもしれないけど...大丈夫?」
「あー、うん、大丈夫!」
「...」
私は引き攣った笑みを見せてみせた。
本当は大丈夫なんかではない。光秀さんのそばに違う人がいるだけでもつらい。でも、それを我慢しないと真実には辿り着けないから...。
そう思って再度笑う。
だが、佐助くんは黙ったままだ。
「?佐助くん?」
佐助くんに声をかけると、
「君は...いや、なんでもない。結果が分かったらまたそっちに行くよ。」
「?うん。」
何か言いかけたようだが本人がいいと言っているのならば良いのだろう。
そのまま私は佐助くんと別れて安土城への道を戻っていった。