• テキストサイズ

『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀




嗚咽をあげながらも私は今の状況を変える方法を必死で考えて、一つの方法に思いついた。


(佐助くんなら...何か知ってるかもしれない...!)


私はいてもたってもいられなくなり、ぱっと立ち上がる。


そして後ろを振り返ると...

「っ...!!」




光秀さんが私を見つめて、立っていた。

息が詰まるのを感じる。


「っ、光秀、さん」


私はかろうじて声を出すが、今にも涙が出てしまいそうだった。


「っ、どうしたんですか、?」

声が震えている。きっと光秀さんには分かられているだろうが、そっと聞いた。

そして私に言い聞かせる。


この光秀さんは、私の知っている光秀さんではないと。



光秀さんは私を数秒見つめると口を開いた。


「いや、女の泣き声が聞こえたものでな。もしかしたら夏香ではないかと来てみただけだ。」


(っ...)

その言葉から分かる。夏香さんはほんとに光秀さんに大事にされているのだと。

でもそれと同時に、私の心配ではなかったという悲しみも湧いてきた。


(やっぱり、私じゃ、ないよね。)

今は一刻も早く佐助くんのところに行きたい。

あの鋭い目を向けられるのは...つらい。


そう思って私は光秀さんの言葉をかわそうとした。

「っ、そうですか、じゃあ私は行くところがあるので...」

そう言って光秀さんの横を通り過ぎようとすると、



「...待て。」


その声で私の体が止まる。


そして光秀さんは私に向き直った。


「お前... 華と言ったな。何故朝俺の部屋にいた。」


光秀さんがじっと私を見つめる。まるで心の裏側を探るように。


そこで私は悟った。


光秀さんは、私が怪しい人物だと思っているのだ。自分の部屋に気配ひとつなしで入り込んできたこの女が何者か、知りたいのだろう。


(答えられるわけ、ないでしょ。)

光秀さんの恋仲だったから、なんて。


私はぐっと唇を噛んでいたが、ぱっと顔を上げて光秀さんを見つめた。

そして、

「...言えません。」

と、一言だけ呟いた。


「...ほう。」

光秀さんが私を見つめ返す。


「なぜ言えないんだ。」

光秀さんが問う。



/ 487ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp