第24章 消えない想いはいつまでも。『前編』❥明智光秀
「誰...?」
私の口から出てきた言葉は本当に私の今の素直な気持ちだった。
「な、んで光秀さんの隣で寝てるの...?」
ふらつきそうな足を動かしてそっと寝ている2人に近寄る。
そして光秀さんの隣にいる女の人の顔をのぞき込む。
が。
(え、ほんとに、誰なの...?)
それは見たこともないし、面識もない人だった。
でも、明らかに光秀さんに腕枕をされているし、その女の人も光秀さんの胸に顔を近付けている。
(どういうこと...?)
光秀さんのそばに違う女の人がいる、ということも悲しかったが、それ以上になぜ違う女の人がいるのか、という疑問のほうが大きかった。
(とりあえず、起こしたほうがいいよね...)
きっと起きたら光秀さんも誰?となるだろうが、
とりあえず光秀さんを起こさなければ。
そう思って光秀さんの肩をそっと叩いた。
「光秀さん、光秀さん、起きてください」
私の声にそっと光秀さんが目を開けた。
少しだけ瞬きをしてから私をじっと見つめる。
その顔に愛しさを感じた私はそっと光秀さんの頬に手を伸ばす。
けど。
ぱんっ
(...え?)
光秀さんが私の手を払って、私を睨みつけていた。
「...誰だ。」
聞いたこともないような低い声で私に問う。
「っえ...」
見たこともないような鋭い目。
それは愛しい人に向けられるものではなく、
まるで、不審者を見ているような...
(嘘、でしょ?)
「っあ、み、つひでさん、?」
私は声を振り絞るも光秀さんはさらに目を鋭くした。
「...お前は誰だと聞いている。」
「っ!」
初めて向けられた鋭い視線。
それに体が硬直するも、私は必死に言葉を紡いだ。
「っ、私だよ、華だよ、光秀さんっ...」
必死に訴えかけるが光秀さんの目は鋭くなってくるばかりだ。
「何故ここにいる。」
「っえ、だって、私と光秀さんは恋仲...」
私がそこまで言うと光秀さんは意味が分からないという
目で私を見た。
「...恋仲はこいつだが。」
そういって光秀さんの隣の人を指差す。
それと同時に隣で寝ていた女の人が動き出した。