第23章 純白花嫁は貴方の為に❥豊臣秀吉
「...俺は、お前と見合いに来たんだ」
にこやかな笑みから紡がれた言葉は、私を打ちのめすには簡単で。
「っ、ひで、よしさん...」
目の前がぼやけてくる。
ちゃんと秀吉さんの顔を見たいのに邪魔をしてくる涙をぐいっと拭おうとすると、秀吉さんがさっと私の腕を掴んだ。
「せっかく可愛くしてもらってるんだから、大人しくしとけ。」
今まで見たこともない柔らかい顔。
(っ...)
すべてが衝撃的すぎてついていけない。
秀吉さんも、私のことが好き。
これまでは、妹としてしか見られていなかったのに。
ようやく、ようやく、秀吉さんの、心を掴めた...。
感極まって私は思い切り秀吉さんに抱きつく。
「っ、大好きだよ、秀吉さんっ...!」
そんな私を受け止めて、秀吉さんが幸せそうに笑うのをぼやけた視界で私は確認した。
それから、時は過ぎて。
見合いを終えて私は秀吉さんと同じ部屋に戻ってきていた。
かなり色々なことが一気に起こって頭が今でもパンクしそうだ。
秀吉さんは部屋の真ん中に座ると自分の膝をぽんと叩いた。
(ここに座れってことかな...)
私はおとなしく秀吉さんの膝に座る。
すると、後ろからいきなりぎゅーっと抱きしめられた。
(!!)
突然の刺激に心臓がどきっと高鳴る。
「っ、秀吉さん...」
私がそう言うと。
「...これまで、ずっと我慢してきたんだ。」
「っえ。」
秀吉さんから放たれた言葉にまた心臓が高鳴る。
「お前を、妹として見れなくなったと思ったら、もう俺はお前の魅力にはまってた。それで...信長様に相談したんだ。」
「え、信長様に!?」
(じゃあ信長様は私も秀吉さんの思いも知ってたってこと!?)
「それで、その後に信長様がお前の見合いをするってことを聞かされたときには驚いたけど...後に俺とお前の見合いってことを聞かされたんだ。」
(ええええ!?)
私は内心で叫んでいた。
(そ、そんなことがあったの...?だから私に信長様は見合いをさせるって...)
これも一種の信長様の優しさなのかもしれない。
(...信長様って案外不器用なのかも。)